2015年以降に登場したジェノタイプ 1型への最新のインターフェロンフリー治療

 ジェノタイプ 1型に対するダクルインザとスンペブラの併用療法に続いて、2015年以降、更に著効率が改善された薬が出てきました。


 まずは2015年9月に発売された「ハーボニー」(ギリアド・サイエンシズ社)。ハーボニーはソホスブビル( Sofosbuvir、NS5Bポリメラーゼ阻害剤)とレジパスビル(Ledipasvir、NS5A複製複合体阻害剤)の配合剤で、両者ともDAAsです。これもジェノタイプ1のC型慢性肝炎、又はC型代償性肝硬変の方が対象となります。1日1回1錠内服し(レジパスビルとして90mg及び ソホスブビルとして400mg)、投与期間は12週間となっています。

 治験段階での12週投与後のSVR(ウイルス学的著効率)は、 SVR 100%(157人中157人)と長い間C型肝炎治療に携わってきた私から見て、驚愕の著効率となっています。また、治験段階でハーボニー投与期間中から投与終了後24週において、ウイルス学的治療不成功(ブレイクスルー例及び再燃例)は認められていません。

 なお、不整脈治療薬のアミオダロンを併用すると徐脈などの不整脈があらわれることがあります(海外では死亡例も報告されています!)。また、腎排泄であるため,腎機能がお悪い方は注意が必要です(eGFR30ml/min/1.73m2以下は禁忌)。

 治験段階での主な副作用は、そう痒症5例(3.2%)、悪心及び口内炎各4例(2.5%)等でした。いずれも低率でインターフェロン治療に比べると格段に軽いと言えます。


 次に2015年11月に発売された「ヴィキラックス」(アッヴィ合同会社)。ヴィキラックスはオムビタスビル(Ombitasvir、NS5A複製複合体阻害剤)とパリタプレビル(Paritaprevir、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤)、そしてリトナビル(Ritonavir、肝臓の代謝酵素の働きを無効化し、Paritaprevirを増強)の配合剤です。1日1回2錠を内服し、投与期間は12週間となっています。

 治験段階での12週投与後のSVR(ウイルス学的著効率)は94.6%(106人中104人)で、NS5Aの93番目のアミノ酸変異Y93(薬剤耐性変異)が検出されなかった野生株だけみると99.0%と更に著効率はアップし、薬剤耐性変異Y93が検出された症例では83.0%でした。

 高血圧の治療薬であるCa拮抗薬との併用が禁忌となっており、また、肝硬変患者に対する肝機能障害のリスクが高まる可能性ありますので注意が必要です。

 治験段階での主な副作用としては、抹消性浮種4.1%、頭痛3.3%、悪心2.8%が認めらていますがいずれも低率でインターフェロン治療に比べると格段に軽いと言えます。


  次に2016年11月に、「エレルサ」と「グラジナ」の併用療法(MSD)が登場しました。エレルサ(エルバスビル、NS5A複製複合体阻害剤)とグラジナ(グラゾプレビル、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤)は両者ともDAAsです。

 ジェノタイプ1のC型慢性肝炎、又はC型代償性肝硬変の方が対象となります。エレルサ50mgとグラジナ100mgを1日1回経口投与します。投与期間は12週間となっています。

 治験段階での12週投与後のSVR(ウイルス学的著効率)は、全患者で97.8%(321人中314人)、慢性肝炎患者(非肝硬変)で96.5%(227人中219人)、代償性肝硬変患者で97.1%(35人中34人)でした。また、未治療患者で96.6% (149人中144人)、前治療のある患者で96.2%(78人中75人)でした。

 主な副作用は、慢性肝炎患者ではALT増加12例(5.3%)、プラセボ群で倦怠感3例(4.1%)でした。代償性肝硬変患者では、ALT増加、AST増加が各5例(14.3%)、下痢3例(8.6%)、便秘、倦怠感が各2例(5.7%)でした。 

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