C型肝炎の治療

 肝硬変行きの電車のスピードが早いとき、つまりGOTやGPTが高値の時、医師は強力ネオミノファーゲンC(注射)やウルソ(内服薬)などのお薬を使ってブレーキをかけます。この文章を読んでいる方もこのような治療(肝庇護療法と呼ばれています)を受けた方も多いでしょう。

 しかし、たとえ速度が遅い各駅停車の汽車でも、のんびりと乗っていたら、いずれは東京駅に着いてしまい、肝硬変や肝がんになってしまう恐れがあります。この汽車を降りるためには「抗ウイルス剤」の投与しか方法はありません。C型肝炎に対する根治的な治療(ウイルスの排除)は、この「抗ウイルス療法」が標準となっています。

 抗ウイルス療法は、2014年前半まではインターフェロン(以下IFN)を中心とした抗ウイルス剤の投与が行われました。IFNは抗ウイルス作用のあるお薬で、うまくいけばウイルスを排除することができます。ただし、IFNは残念ながらどの患者さんでも100%効果があるわけではありません。IFNを中心とした抗ウイルス療法が行われていた時代の治療効果が高い条件は、

 

(1)ウイルスの量が少ない

(2)ウイルスのタイプがセログループ2型

(3)肝臓の線維化が進んでいない

 

などとされていました。しかし、実際のところ、日本人ではC型肝炎ウイルスのタイプがI型で高ウイルス量の方が多いので、当初はIFNを使った抗ウイルス療法を受けてもウイルスが消えない方が続出しました。また、副作用も問題となったため、C型肝炎に対するIFNを中心とした抗ウイルス療法は苦難の道程だったと言えるでしょう。ですから、C型肝炎の治療を理解するには、その治療法の歴史を知ることが大切です。

 次章より、治療法の変遷についてお話を進めます。

  

© 朱雀公道 2016